前回、クラブコング株式会社、代表取締役 松本整が考案し当社で推奨しているパワーチェンジトレーニングについて簡単に書きました。今回はそのパワーチェンジトレーニングについてもう少し詳しく書きたいと思います。
まず、トレーニングには原理、原則があります。この原理、原則にもとづいてトレーニングを行わなければ効果は見込めません。その原理、原則の中に「特異性の原理」というものがあります。この原理は「行う運動によって特異的に身体が発達する」ことを示しています。つまり、トレーニング方法によって、もたらす効果はさまざまであることを意味します。競技、目的に合わせてトレーニング方法を変えなければねらった効果、即ち結果は見込めません。
パワーチェンジトレーニングは、この「特異性の原理」にもとづいたトレーニングです。
次に「特異性の原理」についてもう少し詳しく書きます。一言で「特異性の原理」と言っても色々あります。
運動時間の特異性・・・競技のレース、試合の時間によって主に使われるエネルギーが違います。競技の必要とするエネルギー供給系に合わせてトレーニングすることが必要です。
(100Mとマラソンでは走っている時間が違います。ですから供給されるエネルギーの種類が違います。)
動作速度の特異性・・・競技、独自のリズムやピッチに合わせてトレーニングすることが重要です。動作速度により動員される筋繊維も異なり実際の動きに合わせてトレーニングしなければならない。
(100Mのスプリンターがマラソンを走っても100Mを走る速度は速くなりません。100Mでは速筋繊維をより多く動員しますがマラソンでは遅筋繊維を多く動員します。動員する筋繊維によってトレーニング方法を変えなければいけません。)
動作様式の特異性・・・競技の種目の動作(フォームや出力発揮のタイミングなど)を合わせたトレーニングが重要です。
パワーチェンジトレーニングは「特異性の原理」の中でも「動作様式の特異性」「動作速度の特異性」に着目し筋肉の活動様式を行うスポーツの動作や目的を達成する為に医科学的見地から必要な出力発揮のタイミングに合わせたトレーニングなのです。筋肉の活動様式とは筋が力を出す様子のことです。
パワーチェンジトレーニングの5つのポイント
出力発揮のタイミング・・・野球ではバットにボールが当たった後、力が出ても飛距離には関係ありません。その競技動作に有効なポイントで力が出せないと目的達成は望めません。
関節の角度・・・競技によって力を出す関節の角度、可動させる関節角度は異なります。必要な角度で力が出せなくてはなりません。自転車と短距離走では運動で使われる股関節の角度が違います。さらに力を発揮するタイミングも異なり当然、行わなければならないトレーニングの方法も違ってきます。
力の特徴・・・垂直飛びやハイジャンプなどの跳躍競技は、踏み切り足が着地したタイミングで一気に力を出せなければなりません。この時、必要な力の特徴をRFD(筋力の立ち上がり)と言う指標で表します。ハンマー投げでは、高速で運動しながら更に回転のスピードを上げていかなくてはなりません。ある負荷の物を速く動かせるパワーが重要視されます。伝える力の特徴は異なります。競技に必要な力の特徴に合わせたトレーニングでなくてはなりません。
力の方向・・・自転車のペダリングでは360度の1回転の中で地面に水平なポイントにクランク軸に垂直に力を伝えなければなりません。力の方向が30°ずれると13%、60°ずれると50%の力のロスとなります。力の方向が変わるだけで大きなロスを生んでしまいます。
力の伝達効率の向上・・・車で例えるとエンジンで起こした力をうまく路面に伝えなければ速く走れません。どれだけ大きな力を出しても伝達効率が悪くては意味がありません。
パワーチェンジトレーニングは以上のすべての要素と個人の身体の状態を組み込み、トレニングメニューを作成します。個人、競技にあわせたトレーニング。それがパワーチェンジトレーニングなのです。
<文:濱崎耕平> |